2016 夏 ユニクロで仕事着としてのスラックスを買った男の物語。


私は普段、作業着を着て仕事をしている。
作業着のズボン(パンツと表現するにはいささかダサすぎる。ズボンと表現するのが正しいのだ)がずいぶん傷んできたので、作業着を新調しなければいけないなと感じていた。
 ちょうど、クールビズが始まった時期であったこともあり「スラックスだけ買って必要な時だけ作業着の上着を着ればいいな。」というアイデアを思いつく。
 そもそも、コンピュータ関係なので作業着でなくてもいいのだ。スーツだって問題ない。
 さっそく、ユニクロのサイトを見て、スラックスを買うことにした。
 注文したのは「MEN ストレッチウールスリムフィットノータックパンツ」色は「04 GRAY」である。5990円(税別)。そう、税別なのだ。消費税¥479、そして奉仕額という謎の4円が差し引かれ、合計(税込) ¥6,465となった。5,000円を超えているので送料はつかない。それでも「結構高いよな」と感じた。
 ユニクロでパンツを購入するときは、裾上げも指定できる。74cmにした。そう、私は短足である。かなりすそ幅が狭いので短めにする方がかっこいいかなという思いもあり73cmにするか74cmにするかとても悩んだ。しかし、それでも仕事着であるので靴下が見えない程度の長さは必要であると考え74cmにした。
 最近のユニクロは週末に値段を下げるという風潮がなくなってきたので平日でも安心して買い物ができるようになった。これはとても良いことだと思う。購入したいと思った瞬間に「だけど週末に値下げされるかも?」という不安がよぎると購入の意思が揺らいでしまうものだ。
 3日後には届いた。裾上げがあるのに3日で届くとかすげーなと思った。
 早速、箱を開けると、とてもよい質感で、高いものを買った満足感と充実感に心が満たされた。かなりのスリムパンツで「ちょっとこれおしゃれすぎるんじゃない?」とか余計な心配をするほどだ。「大丈夫、パンツがおしゃれでもお前はカッコ悪いから」。
 私は自慢げに妻のところへ行き、「どう?かっこいい?」と新しく買ったパンツを見せつけた。
 「ちゃんとしたウールだから、生地もすごくいい感じだよ。」と説明すると、妻は急に難しい顔になった。「ウールって?それ、洗濯できるの?」服についているタグを確認すると「ドライクリーニング」しかできないようだ。
 「毎週クリーニングに出すとか無理だよ。毎月500円かかるよ。」妻は申し訳なさそうに私を見つめた。そうだ。ウチは貧乏なのだ。そもそも、作業着を着ていたのも「高い」スーツが痛むのが嫌だからなのだ。だから上下5000円で買える作業着を着ていたのだ。
 残念だがこのパンツは返品することにした。返品は全額返ってくるが、送料は負担しなければならない。1200円くらいはかかりそうだ。

 気を取り直して、再度ユニクロのサイトへ行き、別のパンツを選び直した。
 注文したのは「MEN ドライストレッチパンツ(ウールライク)」の「07 GRAY」。3990円(税別)だ。ウールからウールライクへ。15年前に失業した頃、日々の生活の質がどんどんとレベルダウンしていったことを思い出した。「取扱い:洗濯機・ネット使用」であることを確認できた。
 ここでも裾上げの74cmか73cmかで悩んだ。攻める(73cm)か、守る(74cm)か。結局74cmにした。高校生になったとはいえ、子供達はまだ守るべき存在なのだ。
 しかし、本体価格が5,000円を超えないため450円の送料がかかってしまう。消費税も含めて¥4,795になった。
 なんと2日後に届いた。さすがユニクロと言わざるをえない。
 細かいところはわからないけれど、パンツの形状はウールのパンツと同じなんじゃないだろうか。かっこいいと思った。生地は独特の質感で悪くないなと思った。
 妻に洗濯機で洗えることを説明すると安心していたようだ。なんと、このパンツ代は家のお金を出してくれるという。妻よ、ありがとう。
 翌日、新しいパンツを履いて出かける。作業着は着ずにカバンと一緒に抱える。タイトなパンツで「スタイリッシュなビジネスマン」になったような気持ちで颯爽と出勤した。
 ふと、トイレで用を足そうとした時にちょっとした事件が。チャックを開けてもブツが取り出せないのだ。スタイリッシュなため腰回りが非常にタイトで股上もかなり短い。しかもチャックを開けた時に内側にある生地の幅が大きく取ってあるためブツを取り出そうとすると、その生地が邪魔になるのだ。

普通はこれくらいなのだけど
pants_suits
 
こんな感じでずいぶんと幅が広い。
pants_uniqlo

この二つの写真を見てもらえばどちらが「コスト」がかかるのかは一目瞭然。仕方ないかなと思う。だってゆにくろだもの。

 仕方なくベルト、ボタンを外してブツを取り出し不可能かと思われたミッションを完了した。

 そして手を洗ったところで、ハンカチを持ってくるのを忘れたことに気づいた。あぁこのタイトな腰回りだとハンカチを入れておくこともできないだろうなと思いながら超高速で手を動かすことで手についた水を瞬間的に霧散させる一子相伝の奥義である無影拳(むえいけん)を発動し、手が乾いたことを確認すると、トイレを後にした。

次回予告

 やめて!ウールの洗濯方法の特殊性で、ストレッチウールスリムフィットノータックパンツを返品したら、予備のスーツと繋がっている作業着の予算まで燃え尽きちゃう!お願い!死なないで、作業着。あんたが今、ここで倒れたら、嫁さんや子供達との約束はどうなっちゃうの?マネーはまだ残ってる。これを耐えれば新しいスーツも買えるんだから。

次回、「作業着死す」。デュエルスタンバイ!